「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」の平成16年度一次募集分の認定について〜モーダルシフトやトラック輸送効率化によりCO2排出量を7割削減〜

[画像:国土交通省]
「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」の
平成16年度一次募集分の認定について
〜モーダルシフトやトラック輸送効率化によりCO2排出量を7割削減〜
ラインBack to Home

平成16年6月22日

<問い合わせ先>

政策統括官付
政策調整官(物流担当)付
(内線53315)
TEL:03-5253-8111(代表)

国土交通省では、幹線物流において荷主と物流事業者が共同で海運・鉄道へのモーダルシフトやトラック輸送の共同化といった環境負荷低減策に取り組む場合に、一定の効果が認められるものについて支援する制度を平成14年度より実施しています。
本年度は一次募集期間として5月31日まで募集したところ、バラエティに富んだ15件の応募がありました。このたび、その15件すべての実験計画を認定いたしましたのでお知らせいたします。

昨年度は鉄道にシフトする内容の応募が大多数を占めましたが、今回は鉄道へのシフト以外のものが6件あり、その中にはフェリー利用のもの1件を含めて海運にシフトするものが4件、トラック輸送を効率化するものが2件含まれています。また鉄道にシフトするものの中にも新たな工夫を加えたものがあり、今後の展開が大いに期待されます。
認定した15件が計画通り実施された場合、当該輸送により排出されるCO2の量は実施前に比べて約7割削減され、削減量は年間約2.2万トンになります。同量のCO2を森林による吸収で削減しようとすると、東京ディズニーランドの約55倍の面積を新たに造林する必要がありますが、この支援制度で交付する補助金総額は約1.8億円であり、非常に効果的な環境施策といえます。
なお、本年度二次募集の応募締切りは9月30日(木)となっております。このほか、本実証実験補助制度の詳細については下記HPをご覧ください。

[物流政策のページ]
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu-index.html


資料1

しかく認定方法
応募された実験計画は、まず、学識経験者等からなる「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験検討会」の推薦を受けます。推薦された各実験計画を、施策効果(補助金申請額百万円あたりのCO2排出削減量)の大きなものから優先的に認定することとしています。

しろまる検討会の開催
応募された実験計画について、学識経験者等からなる検討会(平成16年6月15日開催、メンバーは下表)で審査され、下記の基準により15件すべてが推薦されました。

[推薦基準](平成15年度と同じ基準です)
  • 補助金百万円あたりCO2排出削減量の値が81.48t-CO2/百万円・年 以上のもの
  • 上記に含まれないものの中で、革新性、波及性等の観点から特に高い社会的意義を有するもののいずれかに該当するものを推薦。
ただし、計画どおりの事業遂行に信憑性のない計画については推薦しない。

(参考)
環境省試算(2003年7月)
CO2排出量の6%削減約束を達成するために必要な課税率は、課税だけの効果を前提とすると、炭素1トンあたり約45,000円。
→ 100万円あたり22.22t-C/百万円(=81.48t-CO2/百万円)
(注記)事業者は炭素1トン排出して45,000円納税するか、1トン削減して税金45,000円を節約するかという選択がある。税金を節約することと補助金を得ることは等価と考えられるので、上記の換算を採用したものである。

しろまる認定
推薦された15件全てを認定しました。(→ 資料2(PDF形式))

環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験 検討会委員

平成16年6月15日
委員長 加藤 俊平 東京理科大学教授
委員 高橋 洋二 東京海洋大学教授
委員 大聖 泰弘 早稲田大学教授
委員 中泉 拓也 関東学院大学専任講師
委員 立花 宏 日本経済団体連合会専務理事待遇・常務理事
委員 中田 洋 日本物流団体連合会理事長
委員 増井 健人 全国通運連盟理事長
委員 日野西 光温 日本長距離フェリー協会理事長
委員 中西 基員 日本内航海運組合総連合会理事長
委員 野間 耕二 全日本トラック協会理事長
以上10名


資料3

しかく実験概要

[認定した15件の内訳]

[CO2の排出削減効果]
今回認定する15件でCO2排出量を年間約2.2万t-CO2削減する計画です(削減率は平均70%)。このCO2の年間排出削減量2.2万トンを全て森林による吸収でまかなおうとすると、東京ディズニーランドの約55倍の面積を新たに造林する必要があります。

データ
  • 森林1haあたりのCO2吸収量 5 t-CO2/年
  • CO2排出削減量 15件計 21,848 t-CO2/年⇒森林4,369.6 haのCO2吸収量に相当
  • 東京ディズニーランドの面積 80.1ha
4,369.6 / 80.1 = 54.6

これに対し本補助制度により交付する予定の補助金額は15件の実験に対して合計約1.8億円でしかないため、非常に効率的に環境対策を行うことができることになります。

[主な実験の概要]

1ラックコンテナによる12フィートコンテナ国際一貫輸送モデル実証実験
(三菱電機ホーム機器(株)、三菱電機(株)、三菱電機ロジスティクス(株)、濃飛倉庫運輸(株)、全国通運(株)、日本貨物鉄道(株))
輸出した家電部品を上海で組み立てた完成品を輸入する際に陸揚げ港を変更して国内の陸上輸送距離を短縮するとともに、トラック輸送から鉄道輸送に転換することによりCO2排出量を非常に効率的に削減する(削減率93%)。また、東アジア等の海外へと国内メーカーの移転が進む中、小ロット貨物(12ftコンテナ)の国際一貫輸送を可能にするラックコンテナの活用といった工夫とあわせて、今後の複合一貫輸送のモデルとして他事業への波及が期待できるものである。

2物流拠点集約による幹線輸送距離の短縮実証実験
(明治製菓(株)、(株)バンダイロジパル、川崎陸送(株))
工場に搬入するまでのルートにおいて、散在していた複数の経過地(倉庫等)を1箇所に集約することにより輸送経路を単純化するとともに輸送回数を削減し、トラックの総走行距離を3割以上削減するものである。都市部におけるこうしたトラック走行量の削減は温暖化対策だけでなく、住環境改善のためにも必要である。

3「ラック」を使用した関東・関西間でのトラック輸送効率化実証実験
(日鐵住金溶接工業(株)、東邦シートフレーム(株)、松菱金属工業(株)、日亜鋼業(株)、日本製線(株)、日鐵物流(株)、トーエイ物流(株)、(有)山城陸運)
複数荷主がこれまで個別に4t車で行っていた関東〜関西間の鋼材加工品の幹線輸送を、15t車を用いて共同輸送化。荷主ごとの4t積み専用ラックを使用して輸送品質を確保するとともに、荷物の管理も容易にする。

4ダイハツ車体(株) 関西地区部品物流 関西中継基地(川西市)/中津工場(中津市)間フェリーによる海上輸送
(ダイハツ車体(株)、(株)ダイヤモンドフェリー、青木運輸倉庫(株))
組み立て工場の統廃合に伴う輸送先の変更に合わせ、自動車部品の輸送をトラック輸送からフェリー利用による海上輸送に転換。気象条件による遅延や運休時にもジャストインタイム納品方式を維持できるよう、着荷主側に安全在庫を確保する。

5宇部−大分特殊海上コンテナによるモーダルシフト実証実験
(宇部マテリアルズ(株)、三井物産物産(株)大分支店、矢野海運(株))
山口県〜大分県といった比較的短距離の発着地間の輸送において、トラックによる陸上輸送からバージ船(台船)利用による海上輸送に転換する。特殊コンテナタンクの開発により、従来輸送の荷姿のまま海上輸送への転換を実現。

上記5例の概要はこちら(PDF形式)

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。

アクロバットリーダーホームページへ
(ダウンロード)

ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2004, Ministry of Land, Infrastructure and Transport

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /